2011年11月26日

死ねばいいのに

4062161729死ねばいいのに
京極 夏彦
講談社 2010-05-15

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タイトルが強烈です。

そのため最初は買おうかどうしようか迷ったんだけど、出版当時iPhone、iPod touch等で読める電子書籍が随分割引して売ってたので「やっぱ今のうちに買おう」と買ったまま、長らく積読(正確には積んでないんですが)になったままだったのが、本を持って出かけるのを忘れたときに役立ったんですねー。(その後、それをきっかけに大騒ぎが起きたのですが…)

亡くなったアサミという女性について、いろんな人がいろんなことを語ります。
このタイプの小説って結構好き。『悪女について』(有吉佐和子)とか『阿寒に果つ』(渡辺淳一。この頃はまぁ面白い本も多少は書いてたのに…)。

登場人物たちはなぁ〜、見事に共感しにくい人たちばかりでした。
そして意外と耳に痛いセリフが多い。
人は結局自分のことしか語れないんでしょうかねぇ。

正直、少し説教くさい気がしないでもなかったんですが、ラストの展開で少し考えが変わりました。
とはいえ、人の幸不幸を決めるのってやっぱりそこだよなーと妙に納得したり。(あ、やっぱりちょっとお説教入ってるんだ)

直後に読んだ本とも、多少考え方がリンクしてたりしてなんとも不思議な気分。
posted by ぷぅ at 16:50| Comment(0) | TrackBack(0) | さ行

2011年11月25日

感覚の幽(くら)い風景

4122054680感覚の幽(くら)い風景 (中公文庫)
鷲田 清一
中央公論新社 2011-04-23

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哲学を日常の言葉で語ってくれる、鷲田先生の本は面白くて読み応えがあって好き。
今回は主に人間の感覚、まさぐる、むさぼる、こもるなどから、話が広がります。

食や性のタブーと、自分と自分の周りのもの、野生のものなどの境界についての話が面白かったです。
身近だけれども自分や家族ではないもの、ついさっきまで自分の中にあったけれども今はそうではないもの、が穢れの対象になるとか。
バリアフリー住宅は、介護者に優しいけれどもとっかかりがなくて落ち着かないとか。
意外な視点が面白い。
posted by ぷぅ at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | か行

2011年11月19日

日本語の外へ

4041371945日本語の外へ (角川文庫)
片岡 義男
角川書店 2003-09

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二十数年ぶりに片岡義男さんの本を読みました。
昔ね、流行ってたときに何冊か読んだんですよ。
国籍不明な作品世界と翻訳っぽい文章が不思議な作品でした。
と思ってたら、お祖父さんがアメリカの日系1世だったんですね。成功して故郷に錦を飾り、帰国なさっていたそうで、片岡さんは日本の生まれのようですが、バイリンガルのようです。

英語を話すには英語的な思考が必要で、日本語の発想のままそれを逐語訳をするのでは、英語の薄皮を被っただけの不思議な言葉になってしまう、とおっしゃってます。
全くその通りだと思う。
文法が違い、語が違う、それは世界の見方切り取り方も違うということでしょう。

ただし、その後の論の展開には同意しかねる部分が多かったです。
日本語はこうだ、これではこういうことができない、それではダメだ的な話が多く、断定されているけれども根拠は薄く、しかもその基準になるのはアメリカの考え方。
日本語に英語の「I」にぴったりと当てはまる言葉がないことに関連し、相手によって自分を変える、そんなことでは自己を確立できないし、自尊感情を持てないといったようなことを書かれていましたが、そもそも他者を抜きにした揺るがない自己というものが本当に存在するのかということがそもそも疑問。関係性ってとても重要だと思うんですが。

全般的に、こんな調子で全てアメリカが基準でそれと比べてうんぬん、なのでなんだかなぁと。
しかもアメリカがいつの間にか欧米になっているし。欧と米では随分違うと思うんですが。そもそも英語も英と米では大きな違いがあるわけで。

と批判ばかりになってしまいましたが(汗)

第一章の第一次湾岸戦争をアメリカの報道のみを通じて、アメリカの視線で理解するという試みはとても面白かったです。
posted by ぷぅ at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ