2011年07月20日

初恋温泉

4087464342初恋温泉 (集英社文庫)
吉田 修一
集英社 2009-05-20

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温泉を訪れる様々な男女の姿を描いた短編集です。

正直言って、「ありがちだなぁ」と思わされる設定のものもありますが、登場人物たちの心情が丁寧に描かれているので面白いです。

表題作の『初恋温泉』は男女の気持ち、というか愛に対する考え方の決定的なズレがなんとも切ないです。

最後に収められている『純情温泉』は微笑ましい。
主人公の彼がいつまでもこのままの気持ちでイイ男になってくれたらいいなぁ。
吉田さんはこういう男の子を描くのが上手いのよね。

全ての作品の温泉が実在する温泉で、おそらくお宿も実在するお宿。
話の中に上手いこと描いてます。
芥川賞作家なのに、こういう所も上手く書くなーと変に感心してしまう。
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2011年07月14日

カソウスキの行方

4062145375カソウスキの行方
津村 記久子
講談社 2008-02-02

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カソウスキってまるでロシアかどこかの国の人の名前のようですが、これ実は「仮想好き」なんですね。

主人公は後輩に梯子を外されて、閉鎖寸前の地方の工場に異動させられてしまった女性。
確かにツイてはいないんだけど、大きな声で嘆くほどの不運でもなく、でもウツウツとする日々。
同じ工場で働く唯一の独身男性を「好きと仮想する」ことで刺激をあたえることを試みます。

主人公も彼女にカソウスキされる彼もいいキャラなんですよね。なんともリアル。
ちょっとした文章表現もリアルさを増します。

他2篇も面白かった。

3作目は特になんとも言えん味わい(苦笑)
「月間不義理回数」って発想、気持ちは分かるけれども釣り合いをとるのは面倒だなーと思う。
それをやり遂げちゃう花婿は几帳面というかなんというか(苦笑)

津村作品の微かな救いの気配が好き。
posted by ぷぅ at 13:47| Comment(0) | TrackBack(0) | か行